故郷の原風景を写す『石巻』に続く本書『北上川1958-2005』は、橋本照嵩自身にとって身近な石巻から範囲を広げ、岩手町の御堂観音境内にある北上川の源泉から、源流域を記録したカラーとモノクロ写真から厳選し、まとめた写真集である。佐々木幹郎(詩人)が執筆した「橋本照嵩のためのメモランダム」を冒頭に添え、膨大な時間の流れの中で変わりつつある東北風景と変わらぬ人情をフィルムならではの温度でたっぷり味わえる一冊となっている。