$39.72
- Softcover
- 36 pages
- 185 x 220 mm
- ISBN 9784905360438
- Chinese, Japanese, English
- 2025
物語の舞台は、中国のある家族。作者自身と飼い猫「三谷」の二つの視点から語られる物語が重なり合うように構成されている。日記、視覚的記憶、中国的な家族像、そして作家の個人的な時間が、トイカメラのHOLGAを通して一本の線でつながれ、虚構と現実が柔らかく交差する風景を映し出している。
本書は、挿入ページの構成、手作業で仕上げられた綴じや縁、猫の爪痕を模したサインなど、細部にまで作者の手の痕が宿る。
― 出版社説明文より
私の両親は、2020年に結婚30周年を迎えた。中国ではこれを「真珠婚」と呼ぶ。現代の社会において、30年間共に歩むことは、多くの人々にとって羨望の的といえる。両親はある日、「私たちはまだ結婚写真を撮ったことがない。あなた、写真を学んでいるなら、撮ってくれない?」と言った。この言葉が、本作品制作のきっかけとなった。
家族写真の多くと同様に、被写体はカメラの前で笑顔を作り、私に向かって「チーズ」と言う。しかし、時折シャッターがうまく切れず、作られた笑顔が次第に硬直したり、瞬きをしたりする場面もある。それでも、その一瞬に込められた喜びの感情は常に本物だ。
さらに、これまでと同じように、短いながらも日記のようなテキストを書き留めた。それは、かつて家族アルバムに添えられた記録を思わせるものだ。
― 魏子涵