この十年、私は京都に通い続けてきました。私を深く魅了してきたのはこの町に流れる濃密な空気です。千二百年という長い歴史のあいだ、京都では鶏多の戦が行われてきました。この地に生きてきた人々の歓びや悲しみ、祈りや願いや涙や心の葛といったものが長い時間をかけてこの町の濃密な空気を良し出してきているのに違いありません。
京都の歴史は脈を持ち、息をしている一京都に通いながら、私はずっとそんなことを感じ続けてきました。私が試みてきたのは、そんな「生き物」としての家都の歴史の視覚化です。京都の歴史が持つ体温を私の写真から感じていただければ幸いです。