Anti-Action: Artist-Women’s Challenges and Responses in Postwar Japan

Seigensha

新しい時代を象徴していた女性の美術家は、なぜ歴史から姿を消してしまったのか。

1950年代から60年代の日本の女性美術家による創作を「アンチ・アクション」というキーワードから見直す展覧会の図録兼書籍。当時、日本では短期間ながら女性美術家が前衛美術の領域で大きな注目を集めました。これを後押ししたのは、海外から流入した抽象芸術運動「アンフォルメル」と、それに応じる批評言語でした。しかし、次いで「アクション・ペインティング」という様式概念が導入されると、女性画家たちは如実に批評対象から外されてゆきます。豪快さや力強さといった男性性と親密な「アクション」の概念に男性批評家たちが反応し、伝統的なジェンダー秩序の揺り戻しが生じたのです。

本書では『アンチ・アクション』(中嶋泉[本展学術協力者]著、2019年)のジェンダー研究の観点を足がかりに、草間彌生、田中敦子、福島秀子ら14名の作品およそ120点を掲載。また「アンチ・アクション」年表や、フェミニズム美術史の先駆として知られるグリゼルダ・ポロックのインタビュー、そして批評や素材、日本で開催されてきた展覧会のジェンダーバランスなどについて掘り下げた論考を掲載。「アクション」の時代に別のかたちで応答した「彼女たち」の独自の挑戦の軌跡とその考察を紹介します。

出品作家(50音順):
赤穴桂子、芥川(間所)紗織、榎本和子、江見絹子、草間彌生、白髪富士子、多田美波、田中敦子、田中田鶴子、田部光子、福島秀子、宮脇愛子、毛利眞美、山崎つる子